土地の調査に行きました

仕事の話

北関東の某県にある土地の調査に行きました。まずは現地を確認、その後は役所でさまざまなことを調べます。地元の不動産業者さんにもヒアリング。するととんでもない実態が判明しました。


数ヵ月ぶりのコラム更新になってしまいました。
まだまだ暑い時期のことになります。

Bさんから相談を受けて、北関東の某県にある土地の調査に行きました。
東京から車で2時間ほど。周辺には大きな工場や中小の町工場があるものの、ほとんどはキュウリやナスの畑というのどかなところでした。

ちょっと異様な分譲地

事前に登記事項証明書(登記簿謄本)を取得していたので、宅地ということはわかっていたのですが、現地に行ってみると、そこは合わせると20区画以上ありそうな分譲地でした。

ところが、そこに建っている住宅は2棟しかありません。柵だけがある更地や草が生い茂っている更地が荒涼と広がっています。

その一画が対象の土地でした。
事前に更地とは聞いていましたが、まさにその通り。短い草だけが生えている更地でした。
建っている住宅のちょうど南側で何もない原っぱという感じでした。

赤枠で囲われた部分が対象の土地

土地は8m×14mほどの長方形。南側は4m超の道路に接していて、なかなかよさそうな立地です。

境界の杭も一応はありました。境界でもめることもそれほどはなさそうなイメージです。

境界の杭

ですが、この一帯の分譲地に建物がほぼないことが気になります。

住民に話を聞いてみる

さっそく、北隣の区画に建つ住宅の方にお話をうかがってみることにします。
すると、とんでもないことがわかりました。

「ああ、ここは市街化調整区域だから、新たに建物は建てられないんですよ。」

え、市街化調整区域!とは。
たいへんなことになりました。

さらにこんな言葉も。
「それよりも、そこの更地の所有者に草刈りをちゃんとするように言ってください。夏場はひどいことになるから、うちがやってあげているんですよ!」とのこと。

そもそも、他人の所有地の草木を無断で伐採してはいけないのでは。。
ということはいったん置いておきます。

まあ、連絡先もわからないということですし、夏場はたしかに草がひどいことになりそうな感じですし、家のすぐ南側が草ボウボウになっていたら、なんとかしたくなるのも仕方ないのかもしれません。

ちなみに東隣の柵に囲まれた更地は、以前、家があったものの、火事で焼けてなくなったとのことでした。

買ったまま放置していた

Bさんによると、この土地は80歳を超える父親が50年前に知人から頼まれて購入したものの、そのまま放置していたとのこと。

父親が高齢となったため相続のことを気にするようになったBさんが、この土地をどうするか考えたいとのことで、土地の調査を依頼してきたのです。

続いて役所で調査します

詳しい状況を調べるには、役所調査が欠かせません。
次に役所に向かいました。

役所によると、この土地がある一帯は40年前に市街化調整区域に指定されていました。
「既存宅地証明」という、市街化調整区域指定前から建物があった土地だという証明がないと、原則、新たに建物は建てられないとのことです。

さらに、南側の道路は私道で、50年前に宅地が造成された時に作られたこと。
上下水道がひかれていないことなどがわかりました。

つまり、販売された50年前は通常の分譲宅地だったものの、それから10年後に市街化調整区域に指定されたため、以後は原則、建築不可となってしまったのです。

市街化調整区域とは

市街化調整区域とは、都市計画法に基づき「無秩序な市街化を抑制し、農地や緑地を保全する目的で、建物の建築や開発行為が原則として禁止されている」エリアです。原則として新築住宅は建てられず、ライフラインが未整備な場所も多い地域となります。

一方、市街化を進める地域は「市街化区域」とされます。

市街化調整区域で、例外的に建築ができるのは、自己が居住する戸建て住宅で、通勤が可能な場合。市街化調整区域指定前から所有している。などなど、細かな条件があります。

最もハードルが高いのが「50戸連担(れんたん)」というルールで、「概ね50戸以上の住宅が70m未満の敷地間隔で立ち並んでいる(連担している)集落内での住宅というものです。

つまり、もともとある程度の集落だった場所でなければ難しいということになります。

地元の業者に聞いてみる

さて、困りました。
この土地、需要はあるのでしょうか。

そんな時は、地元の不動産業者に直接聞いてみるのが一番です。
さっそく、地元の業者さんを訪ねてみました。

すると、いきなりの訪問にもかかわらず、親切にいろいろと教えてくれました。

50年前は、バブル景気がそろそろ始まりそうな景気がよくなっていく頃で、山林を切り開いて宅地を造成したとのこと。その頃はそのような分譲地がけっこう売れていたとのことです。

ところが、40年前に市街化調整区域に指定されたことで、宅地としての価値はなくなり、売買してもたいした金額にはならないため、不動産業者も手を出さないとのこと。そもそも、買うという需要が、ほぼないとのことでした。

ということで、今回の調査を通じて、「とんでもない土地」だということがわかりました。

では、対策は…

建物が建てられないので、賃貸アパートを建てて経営するという選択肢はありません。
売ろうと思ってもかなり難しいことは目に見えています。

では、どうすればいいのか。考えられるのは次のような策でしょうか。
・隣地の住人に譲渡
 (市場価格での売却は難しいので、ほぼ無償)
・建築条件をクリアできそうな住民を見つけて売却
 (「家いちば」などの中古物件サイトを活用して買い手を探す)
・駐車場や資材置き場
 (需要があればですが)
・相続土地国庫帰属制度を利用
 (相続後に申請、ただし20万円以上の費用がかかる)

Bさんもビックリ

土地の調査結果をBさんに報告すると、Bさんはビックリです。
あわよくばそれでも数十万円で売れると思っていたのが、この状況です。

Bさんには上記の選択肢をご提案しました。現在、どうするか検討を進めているところです。

このように不動産というのは調べてみて初めて状況がわかるものです。
それでも、できるだけ早くこうした状況を知っておくだけでも、その後の対策が見えてきます。

このお話が何かのご参考になると幸いです。

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