古家を活用するビジネスの見学ツアーに参加しました。よく考えられたビジネスモデルなのですが、「出口」が見えないことが気になりました。
2025年7月下旬、真夏の頃のことです。
「一般社団法人 全国古家再生推進協議会(全古協)」の古家見学ツアーに参加しました。
(不動産業者は参加が認められていないので、あくまで個人としての参加です)
場所は浜松市。
朝、新幹線に乗って浜松に行きました。浜松は初めての土地です。ちょっとワクワクします。
天気は快晴。とても暑い日でした。
まずは、可能性と仕組みを学ぶ
まずは、駅近くのセミナー会場に向かいます。
午前中はセミナーで、全古協が展開している古家再生システムについて説明を受けます。
たしかによくできたシステムだと思いました。
プレーヤーは、古家再生士(地元の工務店)とプランナー(投資家)です。
再生士が、築古の戸建物件を探してきます。イメージとしては築40年を超えるような空き家で、建物の価値はほぼなく、古家付き土地として不動産市場に出るような物件です。
対象となるのは、ほぼ地方都市なので、そもそも数百万円程度の価値なのですが、さらに建物の残置物処分費用や取り壊し費用を差し引いた価格での買い取りを目指します。
たとえば、古家付き土地として500万円ぐらいで売りに出ている物件を、300万円程度で買い取るイメージです。
こうした物件を購入するプランナー(投資家)を、全古協がマッチングします。見学会がマッチングの場を兼ねていて、物件を見学していいなと思ったら、購入の交渉に進みます。
購入した古家には最低限度のリフォームをします。リフォームを請け負うのが、再生士です。再生士は本業が建築業という方が多いので、このマッチングでリフォームの仕事をゲットできるというわけです。
全古協は、プランナーと再生士のマッチングで報酬を得るほか、プランナーや再生士に古家活用の研修費用や会費を得ます。
ポイントは古家の見極め
そして、プランナー(投資家)は、購入してリフォームした古家を賃貸に出して賃料収入を得ることになります。
たとえば、300万円で購入した物件に、200万円のリフォームをして、6万円で貸すとします。すると、単純計算では14.4%の表面利回りになるというわけです。
ここでポイントとなるのが、最小限のリフォームでもちゃんと稼いでくれる物件を選べるかということです。こうした「見極め」や「目利き」の方法を、会員になると教えてくれますよというわけです。
また、古家投資のメリットは、数百万というそれほど大きな額ではない投資額で始められるという点です。
このようなことを午前中のセミナーで、たっぷりとインプットされます。
この日、参加していたのは十数人ほど。首都圏や名古屋からの参加者が半数以上を占めていました。
物件見学に出発
各自でそれぞれランチをとった後、駅前にあらためて集合します。いよいよ物件の見学ツアーが始まります。
地元・浜松で建築業兼宅建業をしている再生士さんが用意した乗用車3台に、参加者が分乗して再生士さんがおすすめする物件を見て回るというスタイルです。
1つ目の物件は、築50年ほどの2階建ての木造戸建でした。5人ずつぐらいで順番に中に入って、内側を見ていきます。
エアコンが稼働しているわけでもないので、中は蒸し風呂状態です。さらに残置物がそのままで、ひどいありさま。しかも、床にはGの死骸が転がっていたり。。

本当にこんなボロ家が賃貸物件になるのかと思いますが、ある程度のリフォームでも見違えるようになるそうです。いかにリフォームを最小限にとどめるかが、利回りをよくするコツです。
そのあたりも、全古協の会員になるとみっちり教えてくれるそうです。
2つ目の物件は、駅からはけっこう距離のある住宅街の空き家でした。木造の2階建て、こちらは中の荷物はほとんどなく、建物の状態もそれほど悪くはない感じでした。

このような感じで、見学ツアーは続きます。結局、この日は計5つの物件を見て回りました。
価格は500万円前後が多いのですが、中には1,000万円近いものもあり、それはさすがに高いよなあという感じでした。
反省会はオークション
物件の見学が終わったところで、参加者と案内した再生士があらためて集まります。そこで、この日に見た物件について、意見を交わしていきます。
たとえば、賃料はいくらにできそうかとか、どの程度のリフォームが必要そうかといったことについて、それぞれが意見を出します。
そして最後に、オークションが始まるのです。
「では、1つ目の物件を買いたい方はいますか?」という感じです。
そんな、初めて見た物件で諸条件も確認していないのに、手を挙げる人がいるのか?と思っていたら。。いるんですよ、これが。
その人は、何度か見学ツアーに参加しているらしく、慣れた感じでした。
「不動産業者は500万円としていましたが、180万円なら買いたいです」と、こんな具合に自分が考える希望額を提示するのです。
解体費用などを差し引けばそのぐらいになるので、売ってくれるかも。そんな値の付け方のようでした。実際にその価格で売買が成立するかはわかりませんが、買い手の希望として、再生士が売り手業者に価格を提示して売買交渉を進めていくようでした。
この日の5つの物件のうち、2つについて購入希望者がいました。提示価格はあり得ないぐらい低い価格だったので、それで交渉がまとまったのかどうかはわかりませんが。
それでも、このような現場もあるのだなあと、勉強になりました。
浜松の締めは「餃子」
反省会兼オークションが終わって、見学会も終了。参加者は浜松駅まで送ってもらい、駅前で解散となりました。
ボクは一人で参加していたので、名物でも食べて帰るかと、駅前で店を探しました。浜松といえば、うなぎか餃子。うなぎという気分ではなかったので、餃子が食べられる店を探します。
ネットで見つけた店は大人気で20人以上の行列でした。列に並んではみたものの、あまりの回転の悪さに早々にあきらめて、結局、近くの居酒屋に入りました。
浜松の餃子は丸い形で羽根をつけて焼くのがスタイルらしく、そのいわゆる「浜松餃子」を堪能したのでした。

余談です。後で知ったのですが、実は母方の祖父が浜松出身だったらしく、ボクには浜松の血が4分の1、流れているらしいです。これも何かの縁でしょうか。
「出口」が見えてこない
さて、餃子をつまみにビールで喉を潤しながら考えました。
お安い投資額で賃貸経営をして、10数%の表面利回り。それだけ考えたら、やってみてもいいかなというイメージはわきます。
たとえば、物件購入とリフォームで500万円を投資。利回りが12%とすると、8年半で元は取れて、それ以降はまるまる利益になる。というイメージです。
一方で、そもそも古い物件ですから、見えない傷みなどがあって修繕や補修費用が想定外にかかるリスクもあります。固定資産税ももちろんかかります。
そして、たとえば10年後、20年後にこの物件をどうするかという課題が生じます。「出口」をどうすうるかという問題です。
仮に築50年で買ったとして、20年後には築70年。そんな物件が売れるのか。取り壊して更地にする場合に、解体費用は。更地にしたとして、果たして売れるのか。では、立て直して新たな賃貸物件にするのか。では、その費用は。などなど。
結局、「出口」が見えてきません。「出口」が見えない不動産投資に踏み切れないまま、今もなお考え続けています。

